1978年に「飛んでイスタンブール」が大ヒットとなり、都会派ニューミュージックの代表的アーティストとなった庄野真代。その後も「モンテカルロで乾杯」 「マスカレード」「アデュー」「Hey Lady 優しくなれるかい」などコンスタントにヒットを放つ。80年に世界一周の旅にでかけ、その経験を生かし執筆や講演、司会やレポーター、ドラマ出演など多方面で活躍するようになった。最近では環境問題に取り組んだりNPO「国境なき楽団」での活動にも忙しい。
今となっては、キム・カーンズで全米No.1ヒットとなった「ベティ・デイヴィスの瞳」や、トレイシー・ウルマンがカバーしたダンス定番曲「ブレイクアウェイ」を作った人、といった方がわかりやすいかもしれない。ジャッキー・デシャノンは、50年代末から60年代初期のロックンロール時代に、女性シンガー・ソングライターの先駆けとして登場。自らも「世界は愛を求めてる(What The World Needs Now Is Love)」、「恋をあなたに(Put A Little Love In Your Heart)」といったトップ10ヒットを放っているが、ブレンダ・リーに提供した「Dum Dum」、マリアンヌ・フェイスフルに提供した「Come And Stay With Me」、サーチャーズで有名な「When You Walk In The Room」など、まずソングライターとして名前が知られていった。
ここで紹介する『Her Own Kind of Light』は、そんな彼女の他のアーティストへ提供した曲を含む自作曲だけで構成されたオールタイム・ベスト盤だ。だから、バート・バカラック作の「世界は愛を求めてる」や、ジャック・ニッチェとソニー・ボノが共作した「ピンと針(Needles And Pins)」などは入っていない。昨年、Ravenからリリースされた『The Songwriter Collection 1960-1984』と同趣向のコンピレーションといえるが、曲はそれ程ダブらないし、こちらには、ジャッキーにグラミー賞までもたらした「ベティ・デイヴィスの瞳」が収録されている点にも注目。
ジャッキー・デシャノンは、1944年ケンタッキー州ヘイゼル生まれ。12歳のときにシェリー・リーの名前でマイナー・レーベルからデビュー、その後も名前を変えてシングルを出すが全くヒットせず、63年に「ピンと針」が全米84位まで上がったことと、この曲をサーチャーズがカバーして全英No.1となったことで、本国よりもイギリスで注目を浴びるようになる。サーチャーズはさらに「When You Walk In The Room」もヒットさせ、バーズにも影響を与えたとされる。その意味ではジャッキーはフォーク・ロックの先駆者であり、バーズはデビュー・アルバム『ミスター・タンブリン・マン』の中で、ジャッキーの「Don't Doubt Youself, Babe」をカバーしている。
その後、フィル・スペクター系のガール・ポップ、バーバンク・サウンドを取り入れたソフト・ロック、ソウルフルなボーカルを生かしたスワンプ・ロックとスタイルを変えながらも、その美貌は変らず。『Her Own Kind of Light』は、ジャッキーの音楽の変遷を辿るうえでも最良のアルバムであり、さらにはリマスターで再発されているオリジナル・アルバム数種も大量のボーナス・トラックを収録した貴重なものとなっているので是非。
1964年のビートルズのアメリカ・ツアーの前座に抜擢されて一躍有名になったことから、このタイトルがついた。ジャッキーのフォーク・ロックを代表する2大名曲「Needles And Pins」と「When You Walk In The Room」を収録。両曲ともにイギリスのサーチャーズがカバーしてヒットさせている。ジャック・ニッチェがアレンジを担当し、「Hold Your Head High」はランディ・ニューマンとの共作。8曲のボーナス・トラックを収録。
シュープリームスから強い影響を受けている「Are You Ready For This」「Love Is Leading Me」「Find Me Love」などの自作曲と、バート・バカラック&ハル・デヴィッド作による「Windows And Doors」「To Wait For Love」といったバカラック的世界が溶け合ったガール・ポップの名盤といえる1枚。とにかくキャッチー。ボーナス・トラックには同時期のシングルから8曲を追加。「What The World Needs Now Is Love」も収録。
ガール・ポップ的なイメージからガラっと雰囲気を変えた67年のアルバム『For You』に、その前作『New Image』のほとんどの曲をボーナストラックで追加。ハリウッド的なソフィスティケートされた作品で、マーティ・ペイチやジェラルド・ウィルソンによる華麗なストリング・アレンジとジャジーなボーカルが光る。名盤とされる『Me About You』(68年)につながるソフト・ロック時代を味わうには最適のアルバム。
68年3月の『Me About You』の後は、いち早くザ・バンドの『ニュージック・フロム・ビッグ・ピンク』からの影響を刻みこんだ本作をリリース。「The Weight」のカバーをはじめ、「I Got My Reason」 「Holly Would」などのゴスペル色もあるファンキーでソウルフルなスワンプ・ロックを完成させた。ドクター・ジョンがピアノで参加。ボーナス・トラックのボビー・ウーマックのカバー「Trust In Me」や「What Is This?」も凄い。
ジャッキー最大のヒット曲「Put A Little Love〜」(全米4位)をフィーチャーしたアルバム。この曲は88年にアニー・レノックス&アル・グリーンでカバーされ全米9位のヒットに。前作でのスワンピーな感じと従来のポップさが程よいバランスで、ササン・ソウル風「I Let Go Completely」はダン・ペンのよう。ボーナス・トラックには次作『To Be Free』からの曲が収録されており「You Keep Me Hangin' On〜」のメドレーは聴きもの。
ソウルフルな感じは残しながらも、いわゆるシンガー・ソングライター的なイメージのシンプルで美しいアルバム。ボブ・ディランのカバー「Lay,Baby,Lay」(LadyをBabyに変えてある)やギャラガー&ライル作の「International」のフォーク・タッチが印象的だ。ボーナス・トラックとして収録されたゴフィン&キングの「Child Of Mine」、ヴァン・モリソンの「And It Stoned Me」など、ボーカルに一段と渋みが出てきた。