ロックンロールという言葉を考案したのは50年代に活躍した有名なラジオDJのアラン・フリードで、それは1953年のことだといわれている。以来この音楽はずっと、刺激を求める若い世代を魅了し続けたわけだ。
でね、ちょっと考えてみたわけです。これまであんまり意識することはなかったのだけれど、1953年が昭和28年だと考えると、それは昭和30年代の文化史ともがっちりリンクすることになるなあと。
こじつけがましいと思います? でも高度経済成長期を迎えようとしていた日本の空気感とロックンロールって、どこかで間接的につながっていたんじゃないだろうか。僕はもう少し下の世代だけれど、当時の大学生とか社会人って、無理なくロックンロールを受け入れ、自分たちの文化として楽しんでいたように思えるのだ。うちの婆ちゃんが切り盛りしていた下宿で暮らしてたお兄さん方って、子どもの目からはそう見えたよ。
そう考えると、実はロックンロールって、日本を立てなおそうとしていた当時の若い人たちにとっての精神的バックグラウンドになっていたのではないかと。だとしたら、「昭和ジュークボックス」のモチーフとして充分に成立するんじゃないかと。このように考えたわけです。だから、今回はロックンロール特集。
これまでに取り上げてきた音楽がそうであるように、昭和30〜40年代にはあらゆるタイプの歌謡曲が生まれた。けれど当時って、邦楽と洋楽が現在以上に無理なく共存していたような気がするのだ。言葉の問題があるとはいえ、みんな「いい音楽」として自然に受け入れていたというか。
そういえば、おぼえていることがある。高校生のころだから70年代後半の話だ。そのころ僕が通っていた喫茶店で、いつも有線放送でオールディーズを静かに流していたのだ。当時はまだ、そういう店がたくさんあった気がする。で、あるときその店のオーナーに、「なぜ、いつもロックンロールやオールディーズばかりかけるのか」と聞いてみたのだ。
「大人はこのあたりの音楽を通ってきてるからさ、みんな好きなんだよ。だから、店で流すにはちょうどいい」
返ってきた答えを聞いて、なんだか妙に納得したのをおぼえている。たしかに、ロックンロールを嫌いな人ってあんまり会ったことがないしなあ。青春の思い出といったら大げさかもしれないけれど、それくらいみんなの心のどこかにこの音楽が貼りついていることは間違いないんじゃないだろうか?
というわけで、いまふたたび往年のロックンロールに触れてみてはいかがでしょう? 昭和の思い出が、きっとよみがえってくると思うんだけどな。
(Text/印南敦史) |