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昭和ジュークボックス

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第5回 ニューミュージック特集・女性編

フォークから架け橋となったニューミュージック。
洗練されたアレンジに乗った女性ボーカル、青春の1ページを飾る名曲をご紹介!

まだ子どもだった僕の感覚からすれば、フォークは比較的ゆるやかにニューミュージックへと移行していったように思えた。ごつごつしていた石の角が次第にとれていき、丸みを帯びた石、すなわちニューミュージックへとつながっていったような印象だ。

そしてそれらは現実的に、フォークよりもさらに聴きやすかった。圧倒的に洗練されていて、当時はやっていた洋楽と聴きくらべてもなんら遜色がないようにさえ思えた……って、いや……いま聴きなおすといろんな意味で国産以外のなにものでもなかったりするんですけどね、妙に演歌調だったり。だけど、いまとなってはそれもまた味。

で、ここから先はちょっとばかし主観的な意見です。僕が男で、しかも当時は思春期のまっただ中にいたことも大きく影響していると思うんだけど。

つまりですね、ニューミュージックのあまり長くはなかった歴史のなかで、女性アーティストが果たした役割ってなかなか大きかったんじゃないだろうか感じるのだ。もちろん優秀な男性アーティストもたくさんいたし、比較論ではないよ。けれど思い出してみると、いろんな記憶のバックには女性アーティストのニューミュージックが流れていたりするんですよね。荒井由美の先進性も、尾崎亜美のかわいらしさも、紙ふうせんのちょっとネガティヴな感じも、すべて僕の人間形成になんらかの影響を与えている気がする。

それはともかく、あの時代を生きてきた人はみんな、ラジカセの向こう側から聞こえてくるミューミュージックの旋律や歌詞のなかに生身の自分を投影させていたんじゃないだろうか。

あ、それからこれは本当にどうでもいい話なんだけれど、僕のなかではニューミュージックが出はじめた時期とラジカセをゲットした時期とが重なっているのだ。これは大きかったですぜ。なにしろずっとラジオで聴き流すことしかできなかった音楽を、カセットテープのなかに封じ込めることができるのだから。うれしくって、洋楽と同じようにニューミュージックもTDKのいちばん安いテープ(D-90とか)に録音しまくったものです。みなさん、あのころ似たような感じだったんじゃありませんか? ここにチョイスした楽曲も、実はそこにはいっていたものばかりだったりします。

と、なにも考えずに書いてみて思ったんだけど、せっかく古い楽曲を簡単にダウンロードできる時代なんだから、当時のカセットを再現するような感じで自分好みのプレイリストを組んでみるのもいいかもね。ラジカセならではの“ローファイゆえの味”までは再現できないけど、雰囲気は甦らせることができるだろうから。
(Text/印南敦史)

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Juke Box セレクション

荒井由実
『ひこうき雲』

1973年 Release

ダウンロード価格
アルバム \2,000(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
ひこうき雲試聴
ベルベット・イースター試聴
雨の街を試聴

ニューミュージックという言葉が広く使われるようになったのは70年代中期だったような記憶があるのだが、事実関係については諸説あるようで。しかし音楽的な観点からみれば、間違いなくニューミュージックの先がけだったのは荒井由美だ。僕自身も、デビュー・アルバムの『ひこうき雲』で彼女の音楽をはじめて耳にしたときの印象はいまだ鮮烈。当時はまだ小学5年生だったけど、それは明らかに他の国産ポップスとは違っていたからだ。洗練されていて耳ざわりもよく、すべてが新鮮だった。そのころ交流のあった近所の美大生のお姉さんが同じようにおしゃれだったこともあり、もう少し大きくなれば自分もそういう大人になれるのかなあと妄想を抱いたものだ。残念ながら、おしゃれにはなれませんでしたけど。フォークの時代を通過して、しかしフォークの枠だけにとらわれず、同じ目線で洋楽を吸収してきた人のつくり出した音楽という感じなのかな。

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尾崎亜美
『ゴールデン☆ベスト 尾崎亜美』

2002年 Release

ダウンロード価格
アルバム \1,500(税込)
トラック 各\150(税込)

おすすめトラック
冥想試聴
マイ・ピュア・レディ試聴
春の予感 I’ve been mellow試聴

ご多分に漏れず、尾崎亜美を知ったのは資生堂のCMに使われた1977年のシングル「マイ・ピュア・レディ」だ(デビューはその前年)。松任谷正隆が全面的に関与していたこともあり、最初から彼女の楽曲にはニューミュージックの王道といえる雰囲気が備わっていた。そして「マイ・ピュア・レディ」や「初恋の通り雨」「ストップモーション」などの印象が強いせいか、この人の曲ってとてもシングル向きだと感じていた。ポップだしソフトなボーカルには親しみやすさがあるし、耳にやさしいのだ。いま聴きなおしてもその印象は同じで、ゆったり感がひたすら心地よい。この『ゴールデン☆ベスト 尾崎亜美』についていうと、作詞・作曲・編曲のすべてを担当し、南沙織が1978年春に歌ったヒット「春の予感 I’ve been mellow」のセルフ・カバーも聴きどころ。やはり資生堂のCMソングに起用され、東京音楽祭ゴールデンカナリー賞作詞賞を受賞した名曲である。

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庄野真代
『エッセンシャル・ベスト/庄野真代』

2007年 Release

ダウンロード価格
アルバム \1,200(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
飛んでイスタンブール試聴
中央フリー・ウェイ試聴
アデュー試聴

僕のなかで、庄野真代に対するイメージは二段階で変化している。まず最初は、1977年に出た3枚目のシングル「中央フリーウェイ」。いうまでもなく荒井由美のカバーだが、オリジナルの印象があまりにも強すぎるこの曲をあえてリメイクしようというど根性に感心したのだ。余計なギミックを使わず、自身の個性を生かして誠実に歌っているところにも好感を持った。そしてふたつめは、最大のヒットである1978年の「飛んでイスタンブール」と同年の「モンテカルロで乾杯」のインパクト。この2曲の流れからは“イスタンブールで当たったから次はモンテカルロとワールド系のノリでいこう”みたいな思惑も感じたけれど、ともあれここで弾けちゃえば恐いものなしですよね。79年の「ジャングル・コング」なんかもそうだけど、ひたすらアッパーなノリがよく似合う。しかもそうかと思えば「アデュー」のようなバラードでも情感を表現できるし、表現の幅が本当に広い。

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八神純子
「みずいろの雨」

1975年 Release

ダウンロード価格
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
みずいろの雨試聴
思い出は美しすぎて試聴
パープルタウン〜You Oghta Know by now〜試聴

当時はそれほどの衝撃はなかったけれど、ひさしぶりに聴いてみたら「思い出は美しすぎて」ってかなりクオリティが高かったんですね。改めて思った。冒頭のギターが印象的だし、続くボーカルには独特の柔らかさがある。それらを含め、落ち着いた全体の曲調もよくできている。この人の名前を聞いてすぐに思い出すのは最大のヒット曲「みずいろの雨」だけど、それ以前から独自性を持っていたんですよね。で、その裏づけになっていたもののひとつが、どことなく演歌チックなムードだ。「想い出のスクリーン」あたりに顕著だけれど、そんな側面が持ち前の洋楽指向とブレンドされ、洋楽っぽくもあり日本的でもある独特の雰囲気を生み出していたのではないだろうか。「ポーラー・スター」「パープルタウン〜You Oghta Know by now〜」のころは、その路線が確立されたということかな? いいかげん時効だと思うので、後者の盗作問題にはあえて触れません。

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石川セリ
『プライムセレクション 石川セリ』

2006年 Release

ダウンロード価格
アルバム \2,000(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
ダンスはうまく踊れない試聴
SEXY試聴
Moonlight Surfer試聴

「涙をこえて」でおなじみのコーラス・グループ、シング・アウトでの活動経験を持ち、モデルとしても活躍。1971年の日活映画『八月の濡れた砂』の同名主題歌を歌ったことから、翌年には歌手デビュー……と、井上陽水夫人としても有名な石川セリにはスタート時期から華やかな印象があった。にもかかわらず、うわついた感じもなくクールで知的。結婚後に活動を停止した期間もあったけれど、そんなことも含め時代の流れに左右されず、独自のペースで歩みを進めてきた人だ。復帰作『翼』が武満徹作品を歌ったアルバムだったってことにも、独自性が表れている気がしたなあ。とはいえニューミュージック世代にとっては、やっぱり1977年の「ダンスはうまく踊れない」。高樹澪のカバーも有名だけど、とても30年前の作品だとは思えないほど新鮮だ。その他、「フワフワ・WOW・WOW」とのカップリングでリリースされた1975年の「SEXY」あたりもオススメ。

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吉田美奈子
『SHOWBOAT COLLECTION EAST』

2004年 Release

国産ポップス史上に残る大瀧詠一の名曲「夢で逢えたら」は、やっぱり吉田美奈子の歌声で聴きたいと思うのは僕だけですか? そのくらい、イメージは浸透してますよね。だけど当然この曲以外にも重要曲は多く、たとえば通好みのオムニバス『SHOWBOAT COLLECTION EAST』に収録された「週末」や「かびん」でも、包容力のある表現を味わうことができる。

おすすめトラック

週末試聴
かびん試聴

大貫妙子
『Shooting star in the blue sky』

1993年 Release

シュガーベイブでの活動を経てソロとなり、1976年の『グレイ・スカイズ』以降現在に至るまで、1年ないし2年のペースで大貫妙子は作品をリリースし続けている。というだけあってフェイバリット・アルバムも人それぞれだろうとは思う。けど、各時代の空気感をさりげなく取り入れながら、どの時期の作品でも均一にクオリティを保ち続けているあたりはさすがですね。

おすすめトラック

春の手紙試聴
会いたい気持試聴

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大橋純子
『大橋純子 ベスト10』

2007年 Release

日本人離れしたボーカル・スタイルはソウルフルでありながらもポップ要素満点で、そ にはどんなリスナーをも受け入れるような包容力がみなぎっている。1977年の「シンプル・ラブ」を筆頭に78年の「たそがれマイ・ラブ」など、知らず知らずのうちにパワーを与えてくれるような名曲を多く持つ人だ。「シルエット・ロマンス」で見せる艶っぽさにも、表現の幅を感じる。

おすすめトラック

たそがれマイ・ラブ
シルエット・ロマンス

ハイ・ファイ・セット
『ベスト・コレクション』

1992年 Release

フォーク・グループ、赤い鳥のメンバーによって1974年に結成されたハイ・ファイ・セットは、日本を代表するコーラス・グループとして多くの実績を残してきた。モーリス・アルバートの楽曲をカヴァーした1977年の「フィーリング」が有名だけれど、1992年の活動停止まで精力的に活動を続けただけあって、重要曲が活動全時期に網羅されているところが特徴。

おすすめトラック

燃える秋試聴
ラブストーリーはこれから試聴

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やまがたすみこ
『SUMIKO LIVE』

1976年 Release

ラジオ世代にとって、やまがたすみこといえば1973年に発表された「日立ミュージック・イン・ハイフォニックのテーマ」の印象が強いのでは? カレッジフォークをベースとしながらも、70年代中期以降はニューミュージックへとシフトしていったアーティストだ。繊細でありながらも伸びやかなボーカル・スタイルには、聴き手を選ばない幅の広さがある。

おすすめトラック

むらさき色の風試聴
夏の光に試聴

門あさ美
「ファッシネイション」

1979年 Release

1979年のデビュー・シングル「ファッシネイション」の時点で、従来のニューミュージック系アーティストとはひと味違うイメージを打ち出していたのが門あさ美だ。都会的に洗練された落ち着きあるムードが最大の魅力。メディアへの露出が極端に少なかったことも、ミステリアスなイメージを増幅させていましたよね。影をひそめてからずいぶんたつけれど、数々の名曲は色褪せない。

おすすめトラック

ファッシネイション試聴
Lonely Lonely試聴

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イルカ
『こころね』

2002年 Release

フォークソング・グループ「シュリークス」を経て、1974年にシンガー・ソングライターとしてソロ・デビューしたイルカ。彼女はファースト・シングル「あの頃のぼくは」の時点ですでに、不思議なキャラクターを備えていた。で、それが妙に70年代の空気感とマッチしてたんですよね1975年にリリースされて大ヒットを記録したかぐや姫の名曲カバー「なごり雪」はいまだ新鮮。

おすすめトラック

なごり雪(Version 2002)試聴
雨の物語(Version 2002)試聴

紙ふうせん
『SaIntjeum』

2000年 Release

紙ふうせんは、赤い鳥のメンバーだった平山泰代と後藤悦治郎の夫婦デュオ。結成から3年後の1977年に大ヒットさせた「冬が来る前に」は、いまだ多くの人の心のなかに残っているのではないだろうか。伝承歌などを積極的に取り上げる姿勢に派手さはないかもしれないが、フォークをベースとして発展していったニューミュージックのひとつのあり方を示しているともいえる。

おすすめトラック

冬が来る前に試聴
翼をください試聴

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More&More

ポピュラリティーを得ていた時期が70年代から80年代までをまたいでいることもあって、ひとくちにニューミュージックといってもその幅は広い。初期のそれは明らかにフォークにイメージを引きずっており、それでいて表現方法も多様だった。たとえば「ひとりぼっちの部屋」でポプコン最優秀歌唱賞を勝ち取った高木麻早は、カントリータッチのアコースティックなアプローチが持ち味。それとは対照的に小坂恭子の「思い出まくら」や西島三重子の「池上線」は、フォークをベースとするメランコリックな表現を用いていた。高橋真梨子の「あなたの空を翔びたい」あたりは、歌唱力で真正面から勝負をかけたタイプって感じでしょうか。で、同じベクトルを剥いていたのが、ハイ・ファイ・セットから独立した山本潤子や、あるいはハーモニーを持ち味にしていたサーカス。後者の「Mr.サマータイム」は超名曲ですよね。かと思えばEPOの「Down Town」や杏里の「悲しみがとまらない」は、典型的な新世代ニューミュージック。快活な雰囲気が、多くのファンを魅了したものだ。というわけで色彩も多様なので、有名無名を問わない自分だけのベスト・ニューミュージックを探してみてはいかがだろう。大切な一曲に耳と傾けてみればきっと、あの時代の記憶が鮮明に甦ってくるはずだ。

高木麻早
「ひとりぼっちの部屋」

1973年 Release

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小坂恭子
「思い出まくら」

1975年 Release

[試聴]

西島三重子
「池上線」

1976年 Release

[試聴]

高橋真梨子
「あなたの空を翔びたい」

1978年 Release

[試聴]

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杏里
「悲しみがとまらない」

2007年 Release

[試聴]

サーカス
「Mr.サマータイム」

2006年 Release

[試聴]

山本潤子
「フィーリング」

1998年 Release

[試聴]

EPO
「Down Town」

1993年 Release

[試聴]

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