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第4回 日本のロック特集

エレキ・ギターがすべてを変えた。GSから混沌としたニューロック期を経て、
日本のロック創生へ。時代とともに“ロック”が求めてきたものとは?

 たとえば寺内タケシとブルージーンズに夢中になっていた人が、同じ感覚でTHE STALINを聴いているということは考えにくい。ロックという共通項があるとはいえ音もスタイルもまったく違うし、なにより世代がまったく別だからだ。当たり前ですね。

 ただ、“日本のロック”という枠内に収まるそれらが長い線の上でつながっていることは事実で、だからシーン全体を俯瞰してみるとそこにはさらに絶対的な共通点が浮かび上がってくるように思える。

 スタイルが違おうがオジサンだろうが若者だろうが、それぞれがそれぞれのきっかけによってロックというフォーマットに魅了され、社会的だったり物理的だったりする様々な障壁をよけながら、ときには不器用なくらいの方法でそれぞれのロックを構築してきたのだろうってこと。

 いわば青春の1ページ。と書いちゃうとクサいけど、だからこそそんな思いのなかから生まれた数々のロックは、多少の不備や落ち度があろうともマインドの部分で同世代の共感を勝ち取ってきたのだ。

 つまり、各世代にとって最高の国内ロックというものがある。
「青春時代を思い出させてくれるゴールデン・カップスが一番」
ジャックスの深さからはまだ逃れられない」
「やっぱヤザワの現役感でしょう」
意見はいろいろ。感じ方もいろいろ。

 気持ちが強ければ強いほど、他の世代のロックを自主的に聴いてみようというきにはなかなかならないかもしれない。でもね、だからこそ全体像を俯瞰してみて、いままで聴いたことがなかった他世代の国内ロックに耳を傾けてみれば、きっと感じるなにかがあると思う。

 なぜって冒頭で触れたとおり、音やスタイルが違ってもロックにかける情熱やマインドって実は同じだったりするから。

 そこで提案したいのは、今回の特集をきっかけとして“自分の領域”以外の日本のロックも聴いてみてほしいということ。スタイルはスタイルでしかないのだから、核心とは別ものだ。逆にいえば自身が通ってきたロックを通じて核心の部分さえ理解できているのなら、子供の世代のそれにだって共感できるということ。

 ちょっとした好奇心を持ってそんな聴き方をしてみれば、かつて好きだったバンドと次の世代との間が、一本の線でつながるんじゃないだろうか。
(Text/印南敦史)

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Juke Box セレクション

寺内タケシとブルージーンズ
『エレキと若大将』

1977年 Release

ダウンロード価格
アルバム \1,500(税込)
トラック 各\150(税込)

おすすめトラック
蒼い星くず試聴
夜空の星試聴
夕陽は赤く試聴

僕が生まれた昭和37年は、寺内タケシとブルージーンズが結成された年だ。だからブルージーンズもベンチャーズもまったく後追いだし、「エレキ=不良」というイメージを大人から押しつけられた経験もない。「青春デンデケデケデケ」世代の人たちからすれば、ヒヨッコみたいな感じかもしれない。だけどそれでも、のちに寺内タケシのエレキサウンドを耳にしたときには新鮮な驚きを感じた。上の世代の“衝撃”におよばないとしても、エレキギターへの真摯な思いがはっきり伝わってきたからだ。「“エレキ禁止令”を打破すべく“ハイスクールコンサート”と銘打って全国の高校を渡り歩いた」なんて話を聞くと、なおさら尊敬の念も大きくなっていった。否定されようが不良と決めつけられようが、自分が正しいと信じる者はとことんまで信じる、それってロックの基本姿勢であるはずだし。というわけで、寺内タケシとブルージーンズが残した音源はどれもいまだ新鮮に聞こえる。

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ザ・ゴールデン・カップス
『アルバム第2集』

1968年 Release

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アルバム \1,500(税込)
トラック 各\150(税込)

おすすめトラック
ショットガン試聴
ホールド・オン試聴
ミッドナイト・アワー試聴

オリジナル・メンバーはデイヴ平尾、エディ藩、ルイズルイス加部、ケネス伊東、マモル・マヌー。のちにミッキー吉野、林恵文、アイ高野、柳ジョージ、ジョン山崎も参加したりと、メンバーの豪華さ(実力)もザ・ゴールデン・カップスの存在価値を言い表す要因になるかもしれない。グループサウンズの代表的存在として「長い髪の少女」、「愛する君に」などのヒットを残したわけだけれど、実はR&Bをベースに持ち、アイドルとな対極的な意識を持つ本格派。技術的にもセンスの部分でも洋楽に近い指向性があり、『アルバム第2集』に収録されたジュニア・ウォーカー「ショットガン」、サム&デイヴ「ホールド・オン」、ウィルソン・ピケット「ミッドナイト・アワー」、オーティス・レディング「ドック・オブ・ザ・ベイ」などがそうであるように、リズム&ブルース楽曲を積極的にカバーしてもいた。そういう意味では、グループサウンズという枠をはるかに超越した存在だったといえるのでは?

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サディスティック・ミカ・バンド
『黒船』

1975年 Release

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アルバム \1,500(税込)
トラック 各\150(税込)

おすすめトラック
何かが海をやってくる試聴
タイムマシンにおねがい試聴
どんたく試聴

「帰って来たヨッパライ」でおなじみザ・フォーク・クルセダーズの一員だった加藤和彦は、その時点ですでに日本人離れした才能とセンスを持つ人だった。やることなすことが洗練されていているものだから、彼がなにかするたび感心のあまり「う〜ん」と唸りたくなるというか。その一例が、「帰って来たヨッパライ」の4年後、元妻のミカ、ジャックス〜フライド・エッグと国内ロック・シーン黎明期に多大な功績を残してきたつのだひろとともに結成したサディスティック・ミカ・バンドだ。つのだひろ脱退後、高中正義を加えて1972年に「サイクリング・ブギ」をリリースした彼らは、世界的規模で活躍することに。高橋幸宏、小原礼、高中正義、そして73年作「サディスティック・ミカ・バンド」リリース後に加わった今井裕と、以後に加わったメンツも強者揃い。その活動の頂点というべき名作『黒船』は、いま聴いても充分に新鮮なアルバムでした。まさに日本を代表するリアルなロック・バンドだ。

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カルメン・マキ&OZ
『カルメン・マキ&OZ』

1975年 Release

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アルバム \1,200(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
六月の詩試聴
朝の風景試聴
午前1時のスケッチ試聴

1969年の「時には母のない子のように」で、カルメン・マキが“アングラの女王”として注目された時代の記憶はなくて、あるのは団塊世代の人から切々とその偉大さを語られた記憶だけだ(強制的に聞かされました)。でも、彼女がギタリストの春日博文、ベースの鳴瀬喜博、ドラムスの樋口晶之とともに結成したカルメン・マキ&OZのファースト・アルバムは、鮮烈な記憶として残っている。当時の僕は小学校卒業を間近に控えたころで音楽知識もたかが知れていたけれど、それでのこのアルバムに刻まれた音が借りものではない本物のロックだということくらいの区別はついたからだ。演奏能力の確かさもさることながら、カルメン・マキのボーカルを耳にするといまでも感情が高まってくる。僕にとって特に重要なのは「六月の詩」、「朝の風景」、「午前1時のスケッチ」あたりだが、当時、これらに顕著な説得力を身につけていたグループはほとんどいなかったのではないだろうか。

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ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
『35周年ベスト』

2008年 Release

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アルバム \1,800(税込)
トラック 各\150(税込)

おすすめトラック
スモーキン・ブギ試聴
カッコマン・ブギ試聴
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ試聴

「スモーキン・ブギ」、「カッコマン・ブギ」、そして「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」に代表されるヒット・ナンバーの痛快さ。全員揃って白いツナギにサングラスというルックスも含め、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドには子供の心を魅了してやまないフックがぎっしり詰まっていたのだった。「スモーキン・ブギ」のころは中1だったが、彼らのカバーを聴いたことがきっかけで岡林信康の「山谷ブルース」も知った。決定的にかっこいいというわけではなく、不良を装っているけれど、「本物の不良じゃないんだろうな」と感じさせるなにかが妙に心を引きつけたり。特にリーダーの宇崎竜童という人には、悪ぶれば悪ぶれるほど弱点が見えてくるような、逆説的な魅力があったと思いませんか? そして先に触れたヒット・ナンバーの数々がそうであるように、この人たちの楽曲はとにかくわかりやすくて明快で、ポップ・ミュージックに必要なフックがすべて備わっていたように思えるんだな。

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RCサクセション
『RHAPSODY』

1980年 Release

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アルバム \1,800(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
よォーこそ試聴
ボスしけてるぜ試聴
雨あがりの夜空に試聴

RCサクセションを知ったのは、すでに彼らがロック・バンドに転身したあとだ。つまり「僕の好きな先生」に代表されるフォーク時代の音源はさかのぼって聴いたわけだけれど、それらを確認するまでもなく、忌野清志郎の作詞能力には最初から驚かされていた。3作目『シングル・マン』から生まれた「スロー・バラード」、『ハートのエース』にひっそりと収められた「山のふもとで犬と暮らしている」の叙情性などなど、ここまで深く、がっしりとした幹を持つ詞が書ける人はそうそういないと感じたからだ。しかも、あの強烈なキャラクター。自身のベースであるリズム&ブルースの感覚を日本人に向けて多角的に投げかけるアプローチの妙も含め、やはり表現者としてこの人は天才だと思わずにはいられない。だからRCに駄作なしと断言したいのだが、なかでも飛び抜けた作品といえば、80年のライブ『ラプソディー』だ。当時の衝動が、いま聴いてもまったく色褪せていないことにまたもや驚く。

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ジャックス
『ジャックスの世界』

1968年 Release

「早すぎたアーティスト」みたいな表現は使い古されすぎているが、早川義夫率いるジャックスが文字どおり早すぎたことは否定できない。葛藤とか苦悩を歪曲した歌詞表現と前衛的な演奏でコーティングした世界観は、まさにグループ・サウンズやフォークの指向性とは対極に位置するもの。商業的成功に至らなかったのもそのせいだが、のちの世代に与えた影響も大きい。

おすすめトラック

からっぽの世界試聴
マリアンヌ試聴

頭脳警察
『頭脳警察セカンド』

1972年 Release

頭脳警察といえば、思い出すのは政治問題へ切り込んだ過激な歌詞。おかげでファースト・アルバム『頭脳警察1』は発売中止となり、名作として名高い次作『頭脳警察セカンド』も3曲が放送禁止に。ただ、こうしたエピソードばかりが取り沙汰されすぎるのも事実で、音楽面に目を向けてみればロックの本流というべき指向性に普遍的な説得力があることがわかる。

おすすめトラック

銃をとれ!〜マラブンタ・バレー試聴
軍靴の響き試聴

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クリエイション
『クリエイション』

1975年 Release

ホワイト・ブルースの影響下に結成されたブルース・クリエイションを母体に持つクリエイションは、ギタリスト兼ボーカリストである竹田和夫の理想を体現したバンドだったといっていい。竹田と飯島義昭とのツイン・ギター、日本のバンドだとは思えないほど無理のない英語のボーカルなど、個々のエレメントががっちりとかみ合ってとてつもない迫力を生み出していた。

おすすめトラック

YOU BETTER FIND OUT試聴
A MAGIC LADY試聴

上田正樹とSouth to South
『この熱い魂を伝えたいんや』

1975年 Release

上田正樹を軸に結成されたサウス・トゥ・サウスは、国内バンド史上に欠かすことのできない重要な存在だ。太いグルーヴが貫かれた本格指向のサウンド、そしてオーティス・レディングの影響下にある上田のパワフルなボーカルが絡み合い、奇跡的な完成度を生み出したからだ。代表作としても有名なライブ『この熱い魂を伝えたいんや』には、その躍動が刻み込まれている。

おすすめトラック

オープニング(サウス・トゥ・サウス)試聴
ウ・プ・パ・ドゥ試聴

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矢沢永吉
『LIVE DECADE 1990-1999』

2000年 Release

昨年末に武道館公演100回を達成した矢沢永吉は、紛うことなき日本最高のロック・ヒーローだ。自分自身の力だけで道を切り開こうとする姿勢はいまだ衰えず、それどころかまだまだ疾走してくれそうな勢い。過去のヒット曲が次々と登場する『LIVE DECADE 1990-1999』を聴いてみれば、矢沢とともに歩んでいたあのころの気持ちを思い出せるかもしれない。

おすすめトラック

止まらないHa〜Ha試聴
トラベリン・バス試聴

萩原健一
『熱狂・雷舞!』

1979年 Release

テンプターズとPYGでの活動を通じてグループサウンズの歴史に名を刻み、俳優としても数々の名演技を披露してみせた萩原健一だが、1975年にリリースされたアルバム『惚れた』からスタートするソロ・アーティストとしての活動にも見るべき点があった。なかでも、柳ジョージ&レイニーウッドがバックを務めたライブ『熱狂雷舞』は必聴。泣けてくる情感だ。

おすすめトラック

祭ばやしが聞こえる試聴
自由に歩いて愛して試聴

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ムーンライダーズ
『ANTHOLOGY moon riders BEST』

2003年 Release

鈴木慶一、あがた森魚らによる日本語ロックの先駆者、はちみつぱいが母体となっていることからもわかるとおり、ムーンライダーズは国内ロック・シーンの礎というべき重要な存在だ。アメリカン・ロック〜ユーロ・ロック〜ニュー・ウェイヴ等、時代とともにあらゆるジャンルのエッセンスを吸収する姿勢がポイント。クオリティの高さは、世界レベルでみてもひけをとらない。

おすすめトラック

9月の海はクラゲの海試聴
青空のマリー試聴

センチメンタル・シティ・ロマンス
『ゴールデン☆ベスト』

2006年 Release

スタジオ・ミュージシャンとしてのキャリアも豊富に持つセンチメンタル・シティ・ロマンスは、地味ながらも国内ロック史に確かな実績を残してきたバンド。ウェスト・コースト・ロックをベースとしたサウンドは洗練されていると同時にしっかりとした芯が通ったもので、明らかに時代の先端を行っていた。しかもそれでいて、いま聴いてもまったく古さを感じさせない。

おすすめトラック

カモン・ベイブ(LIVE)試聴
Good Timing試聴

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PRISM
『PRISM』

1977年 Release

国内屈指のスーパー・ギタリストとして名高い和田アキラと森園勝敏を擁していた(現在は和田を中心とするトリオ)プリズムは、75年の結成当時の潮流だったフュージョン・ミュージックの代表バンドとして当時の音楽ファンを驚喜させたバンド。ギター・キッズがお手本にしたほどのテクニックを、すっきりまとまったバンド・サウンドにうまく落とし込んでいる。

おすすめトラック

CYCLING試聴
MORNING LIGHT試聴

JOHNNY, LOUIS & CHAR
『FREE SPIRIT』

1979年 Release

元イエローのジョニー吉長、元ゴールデン・カップスのルイズ・ルイス加部、そして中学生時代からスタジオ・ミュージシャンとして活動し、スモーキー・メディスンを経てソロへと転じたCHARからなるスーパー・ユニット。のちにピンク・クラウドと改名する彼らはある意味で、“日本のロック的ではない日本のロック”をかたちにした本物のバンドであるといえるだろう。

おすすめトラック

Wasted試聴
風に吹かれてみませんか試聴

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FRICTION
『軋轢』

1980年 Release

70年代後半の東京ロッカーズ・ムーヴメントのなかから現れ、現在も活動を続けるフリクション。パンク/ニュー・ウェイヴのリアリティを現在も失わない重要な存在だ。特にレックのベースと恒松正敏のギター、チコヒゲのドラムが切れ味鋭い空気感を生み出していた初期は重要で、坂本龍一がプロデュースしたメジャー・デビュー作『軋轢』に鬼気迫る勢いがパッケージされている。

おすすめトラック

A-GAS試聴
100年試聴

THE STALIN
『STOP JAP』

1982年 Release

豚の頭や臓物を客席に投げつけるなど、遠藤ミチロウの過激なパフォーマンスによってTHE STALINは強烈なインパクトを社会に対して投げつけた。しかしそれらはマスコミをコントロールするための巧みな戦術であり、そういう意味ではミチロウの明晰さに世間が翻弄されたようなものだ。メジャー・デビュー作である『STOP JAP』も、いま聴けば意外なほどキャッチー。

おすすめトラック

STOP JAP試聴
ソーセージの目玉試聴

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More&More

60年代に大活躍した尾藤イサオの代表曲は、アニマルズの名曲をカバーした「悲しき願い」だ。アイ高野を中心としたザ・カーナビーツのデビュー曲「好きさ好きさ好きさ」は、ゾンビーズの「I Love You」を日本語訳したもの。「心の旅」でおなじみチューリップの源流はビートルズである。ってなところからもわかるように、黎明期の国内ロッカーにとって“洋楽に近づくこと”は大問題だったのかもしれない。創造物の原点は模倣で、それがオリジナリティの確立へとつながるのだからまあ当然。事実、以後のシーンからは“自分たちらしさ”を確立した人材が数多く登場した。たとえば元ダイナマイツの山口富士夫が在籍していた村八分の個性的な表現は、ロックのフォーマット内にありながらも日本的だった。逆に紫のハードロックのリアリティは、アメリカの施政下にあった沖縄の土壌があってこそ生まれたものだ。70年代後半に登場したアースシェイカーの場合は、日本人的なメロディ感覚に根ざしている。また「めんたいロック」と呼ばれたA.R.B.やTHE MODSがそうであるように、特定の地域からある種の色を備えたバンドが生まれてくるという流れも。ひとくちに日本のロックとはいっても、多種多様に広がっているというわけだ。

尾藤イサオ
「悲しき願い '65」

1965年 Release

[試聴]

ザ・カーナビーツ
「好きさ好きさ好きさ」

1967年 Release

[試聴]

チューリップ
「心の旅」

1997年 Release

[試聴]

村八分
「どうしようかな」

1973年 Release

[試聴]

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