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昭和ジュークボックス

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第1回 フォーク特集

まだ人生が何かもわからなかったあの頃・・・、心に届いた歌たち。
昭和世代の青春のバイブル、あの頃の“フォーク”をもう一度!

 僕の実家はかつて下宿をやっていて、物心つくころから、そこには常に何人かの大学生が暮らしていた。誰かが卒業を契機に出ていくと、また次の新しい大学生が入ってくる、そんな感じだ。

 なかでもいちばん影響を与えてくれたのは、僕が5年生のころに越してきたSさん。部屋には何本かのギターやバンジョーがあって、レコードもたくさん持っていた。音楽ばっかりやっていたし表情を表に出さない人だったから大家である婆ちゃんからは嫌われていたが、上からものを言わないSさんが僕は大好きだった。

 いろんな音楽を教わった。世代としてはいくぶん下にあたる僕が小学生のころからフォークを聴くようになったのも、彼がいろんなレコードを聴かせてくれたおかげだ。

 とはいえ、黎明期からすべての流れをリアルタイムで体験したわけではないから、僕のフォーク観には偏ったところがあると思う。岡林信康に衝撃を受けたわけでもないし、エレック時代の吉田拓郎を熱心に聴いたわけでもない。どちらかといえば、コアなリスナーが「フォークは軟弱になった」と言いはじめてからのファンである。

 でも、それでもいいと思っている。なぜなら、フォーク・ソングの本質はひとりひとりの心のなかにあるものだと信じて疑わないからだ。硬派であろうが軟弱であろうが、フォークというフォーマットのなかで感動を得ることができたならば、それを非難することは誰にもできない。自分にとって大切なジャンルであることは事実だからなおさら、狭い価値観で捉えたくないという気持ちもあるし。まあ、どんな音楽にも言えることではありますけれど。

 だから、好きなフォーク・シンガーにもいろんなタイプがいる。初期の井上陽水にはとことんハマッたし、『今はまだ人生を語らず』を出した吉田拓郎にはロックっぽい匂いを感じた(このあたりが、エレック時代を通過してきた人とは違う感覚なのかも)。

 ちょうどかぐや姫の全盛期でもあり、彼らの曲はどれを聴いても感動できた。N.S.P.「夕暮れ時は淋しそう」はなけなしのこづかいのなかから買った数少ないレコードのひとつであり、その女々しくも物悲しい雰囲気には強く惹かれた。「おはようございますの帽子屋さん」という曲を歌っていた谷山浩子には、いまの言葉でいう“ふしぎちゃん”な雰囲気を感じた。

 子どもだったから海援隊「母に捧げるバラード」とかケメ「バイオリンのおけいこ」みたいに笑える曲も大好きだったけど、丘蒸気の「二人の舞踏会」や下田逸郎の「踊り子」のようにシブい曲も嫌いじゃなかった(というか、かなり好きだった)。

 しかし、こうやって列記していくとキリがないなあ。それくらい、いつまでも強い印象を残す歌が当時は多かったということだ。てなわけでもう一度、あのころの曲を聴きなおしてみませんかというご提案。きっと、いろんな思いがフラッシュバックすると思いますよ。
(Text/印南敦史)

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Juke Box セレクション

ザ・フォーク・クルセダーズ
『紀元貮阡年』

1968年 Release

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アルバム \1,500(税込)  
トラック 各\150(税込)

おすすめトラック
帰って来たヨッパライ試聴
悲しくてやりきれない試聴
水虫の唄試聴

「帰って来たヨッパライ」が流行ったころ、僕はまだ幼稚園児だった。彼らについて語るとかいう以前の問題だったわけだが、それでもこの曲は大好きだったな。なぜって子供の耳にもわかりやすくて、純粋におもしろかったから。つまりはそこが、加藤和彦、北山修、はしだのりひこからなるザ・フォーク・クルセダーズの底力だ。殻に閉じこもらず、やりたいことを無理なく柔軟にやっていたという意味で。ラジオから火がついた「帰って来たヨッパライ」がオリコン史上初のミリオン・ヒットになったのも、言ってみれば当然の話。短命ではあったけれど、短期間のうちに持てる力を凝縮させたからこそ、このアルバムはいまなお強い説得力を持っているのかもしれない。「帰ってきた〜」の対極にあるような切ないバラードの「悲しくてやりきれない」を歌ったかと思えば、「水虫の唄」のように肩の力が抜けきった楽曲もあったりして、振り幅の広さには何度聴いても驚かされる。

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かぐや姫
『かぐや姫 Best Dreamin’』

2000年 Release

ダウンロード価格 
トラック 各\210(税込)

おすすめトラック
神田川試聴
22才の別れ試聴
試聴

かぐや姫への想いを巡らせれば、大好きだった曲はいくらでも脳裏に蘇る。歌詞に描かれた情景は当時の僕からすれば大人すぎたが、それでもたしかに響いたのだ。ガキのくせして、「妹」の“あの味噌汁の作り方を書いていけ”というところでじーんときたりね(どんな子どもだよ)。それから、3人のキャラクターの立ち具合いも好きだったな。子ども心に「やっぱりショーヤンがいちばんかっこいいな」とか思ってみたり、“いつかなりたい大人”としての魅力が彼らのなかにはあったのだ。でも、小学校高学年の子どもにもそれほど訴えかけたのだから、同世代の人たちの衝撃はとてつもなく大きかったんじゃないかと思う。「神田川」や「22才の別れ」や「なごり雪」などの世界はおそらく団塊世代の人たちの体験として刻み込まれているもので、だから大きな共感を得たのだろうと。あのころって、どんな感じでしたか? かぐや姫を聴くたびに、もうちょっとだけ早く生まれたかったなと感じます。

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井上陽水
『断絶』

1972年 Release

おすすめトラック
もしも明日が晴れなら
人生が二度あれば
傘がない

生まれて初めて買ったLPレコードは、井上陽水の『陽水ライヴ もどり道』だった。早熟な友達から強制的に『断絶』を聴かされた結果、なんだか陽水が気になる存在になったからだ。だから、『もどり道』はいまだに僕のなかで大切。とはいえ、それ以前の大前提としてこのアルバムを無視することはできないだろう。あふれんばかりの表現欲求(そして群を抜く表現力)と、その根っこにあるコンプレックスが絡み合った結果、とてつもなく巨大なイメージが誕生してしまったという印象。「傘がない」で歌われる“社会問題よりも、彼女に会いに行くための傘がない”という切り口には誰しもが持っている矛盾のようなものが明確に表れている気がして、ちょっと共感したことをおぼえている。そして、井上陽水名義でのデビュー・シングルでもある「人生が二度あれば」だ。“父の湯飲み茶碗は欠けている それにお茶を入れて 飲んでいる”みたいな情景描写がリアルで、ものすごい才能だと感じたものだ。

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吉田拓郎
『エレック・シングル・コレクション 喜怒哀楽』

2006年 Release

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トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
青春の詩試聴
マークII試聴
イメージの詩試聴

古い友人である6歳年上の漫画家、江口寿史は高校時代に吉田拓郎の大ファンだったそうだ。「歌だけじゃなく、拓郎のやることすべてがかっこよかった」と話してくれたことがあったが、つまりは当時の若者のヒーローだったのだろう。10歳のときに「結婚しようよ」と「旅の宿」で拓郎を知った僕に、そこまでのリアリティはわからない。けれど、もしもその世代だったら、同じようにハマッたのだろうなという気はする。江口氏が初めて買ったシングルだったという「マークII/イメージの詩」、あるいは「とっぽい男のバラード」あたりを聴くと、なるほど彼が支持された理由がおぼろげえながらわかる気がするのだ。個人的にいちばん好きなのは、やっぱり「青春の詩」。“喫茶店に彼女とふたりで入って コーヒーを注文すること それが青春”みたいな表現に、すごく共感できるものを感じるから。どの世代であったとしても青春は青春。あのころの感覚って、いつの時代もおんなじってことですね。

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泉谷しげる
『ライブ サブ・トータル』

1978年 Release

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アルバム \2,400(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
ブルースを唄わないで試聴
春夏秋冬試聴
黒いカバン試聴

初めて聴いた泉谷しげるの曲は「黒いカバン」だったから、僕のなかでの泉谷しげるのイメージは最初、ちょっとだけ色物っぽかった。で、その延長線上で彼の姿を目にするたび、「なんだか熱いオッサンだなあ」という印象ばかりが肥大化していったのだった。だから解釈としては正しくないかもしれないけれど、あの屈折感はどうにも気になった。あるとき、それ以前の彼の作品をまとめ聴きしたのはそのせいだ。で、その結果「強さと繊細さを併せ持った人だな」という印象を持ち、そこからのめり込んでいった。これはそれより少し前、昭和48年に収録されたライヴ・アルバムだ。ふざけたスタンスの裏側に辛辣なメッセージ性が隠れた先述の「黒いカバン」から、その名のとおりブルース臭がぷんぷんと漂ってくる「ブルースを唄わないで」、そして聴くたび切なさに胸を締めつけられるような代表曲の「春夏秋冬」などなど、ひとつひとつの楽曲の粒立ちが驚くほどいい、エレック時代を象徴する名作だ。

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アリス
『ゴールデン☆ベスト アリス』

2002年 Release

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アルバム \2,000(税込)
トラック 各\200(税込)

おすすめトラック
帰らざる日々試聴
今はもうだれも試聴
遠くで汽笛を聞きながら試聴

火曜日の『セイ!ヤング』が好きだった。という人は、僕以外にも多いことでしょう。なぜって、名物コーナーの「天才・秀才・バカ」があったからだ。あれで人生を踏み外した人は、きっと少なくないはず(って、それほどでもないよ)。しかしバカグルーヴが強烈だったので、『セイ!ヤング』の谷村さんとアリスでの彼のイメージがつながりにくかった時期があるんだよなー。で、アリスに焦点を当ててみると、心に貼りついている楽曲の多さに驚く。初めて聴いたのが大ヒットした「今はもうだれも」や「帰らざる日々」、「遠くで汽笛を聞きながら」で、高校生になる過程で「冬の稲妻」、「チャンピオン」などがヒットした感じ。余談だけど「チャンピオン」のころにちょっとだけ谷村さんと交流があり、「あの曲の“ヨーキンキン”って聞こえるところはなんと言ってるんですか?」とたずねたことがある。谷村スマイルを浮かべたまま、“You are king of king”と静かに教えてくれたのが印象的でした。

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はしだのりひことシューベルツ
『未完成』

1969年 Release

フォーク・クルセダーズの一員だったはしだのりひこが、杉田二郎、おちゆうじ、井上博とともに結成したシューベルツ。大ヒットしたデビュー・シングル「風」は時代を越えていまもなお愛される名曲だ。他にも「何もいわずに」、「さすらい人の子守唄」、「夕陽よおやすみ」などおなじみのナンバーが収録された本作は、69年の記念すべきファースト・アルバム。もちろんベースはフォークだが、ひとつの枠内には収まりきらない音楽性が随所に反映されている。

おすすめトラック

試聴
さすらい人の子守唄試聴

はしだのりひことクライマックス
『結成コンサート実況盤』

1971年 Release

井上博が急死したため解散したシューベルツに次いで、はしだのりひこが新たに結成したグループがクライマックス。これは、1970年に行なわれた結成コンサートを収録したライブだ。フォークル時代の名曲「帰ってきたヨッパライ」やクライマックス名義での大ヒット曲「花嫁」、さらにはモンキーズのカバー「デイドリーム・ビリーバー」やCMでおなじみの「マンダム〜男の世界」まで演奏曲の幅も広く、当時のコンサートの雰囲気を存分に楽しめる。

おすすめトラック

花嫁試聴
マンダム〜男の世界試聴

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ジローズ
『ジローズ登場』

1971年 Release

杉田二郎を中心として67年に結成され、翌年には解散。70年になって杉田と森下次郎のデュオ・グループとして再スタートしたのがジローズだ。活動期間は約2年と短いものの、71年の日本レコード大賞作詞賞も受賞した「戦争を知らない子供たち」は、いまなお歌い継がれる永遠の名曲として有名。同曲を含むこのアルバムには、サイモン&ガーファンクル「アイ・アム・ア・ロック」から映画『いちご白書』主題歌の「サークル・ゲーム」までカバーも秀逸だ。

おすすめトラック

戦争を知らない子供たち試聴
あなただけに試聴

ビリー・バンバン
『ベスト撰集』

2000年 Release

69年に「白いブランコ」でメジャー・デビューするや、一躍人気グループとなった兄弟デュオ。以後も「ミドリーヌ」、「れんげ草」、「さよならをするために」などヒット曲を連発し、この年の第23回NHK紅白歌合戦にも出場するという快挙を成し遂げた。ゆったりとして親しみやすいメロディラインと、息のあったボーカル・ワークが最大の持ち味。活動を一時中断した76年までのプロセスで、多くのリスナーの脳裏に爽やかな印象を残すこととなった。

おすすめトラック

白いブランコ試聴
れんげ草試聴

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山崎ハコ
『飛・び・ま・す』

1975年 Release

小柄なルックスからはとうていイメージできない、パワーに満ちたボーカル力を持っていた山崎ハコ。独自の視点を武器としたリアリティにも強い説得力があった。Charや小原礼、吉田健らのサポートを受けて75年に発表したこのデビュー・アルバムでも、18歳だったとは思えないほどの圧倒的な存在感をアピールしている。ぐいぐい進む牽引力がすばらしい「気分を変えて」、切なさがたまらない「飛びます」など、数々の名曲はいまなお新鮮。

おすすめトラック

気分を変えて試聴
飛びます試聴

中山ラビ
『ゴールデン☆ベスト 中山ラビ』

2006年 Release

18歳で家出をし、京都で実績を積み上げた中山ラビは、アンダーグラウンド文化としてのフォーク・ムーヴメントを振り返る上では欠かせない人物だ。「女ディラン」みたいな呼ばれ方はどうかと思うけど、すべての意味においてフォークの可能性を具現化したことは絶対的な事実だから。その証拠に、「川にそって」「ひらひら」など数々の名曲はどれだけの時間を経てもまったく風化しない。世代を超えて訴えかける、普遍的な力が備わっているということだ。

おすすめトラック

川にそって試聴
ひらひら試聴

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古井戸
『古井戸の世界』

197?年 Release

72年にデビューした加奈崎芳太郎と仲井戸麗市によるデュオ、古井戸。7年の活動期間内に9枚ももアルバムをリリースした彼らの世界には、日本の土壌におけるフォークの神髄とでもいうべき説得力がみなぎっていた。なかでも、このファースト・アルバムは基本中の基本。代表曲である「さなえちゃん」を筆頭に「何とかなれ」、「ちどり足」など珠玉のラインナップだ。個人的には、「インスタントラーメン」に当時の若者のリアリティを感じます。

おすすめトラック

インスタントラーメン試聴
さなえちゃん試聴

RCサクセション
『初期のRCサクセション』

1972年 Release

本当はリズム&ブルースをやりたかったRCが、初期は食っていくためにフォークをやっていたというのはわりかし有名な話。にもかかわらず、ここまでの奥深さを演出できてしまうんだから、やっぱり忌野清志郎は天才だとしかいえない。誰もが「そういう先生、いたよなー」と思える「ぼくの好きな先生」が真骨頂だけれど、他にも男のダメさを浮き彫りにした「国王ワノン1世の歌」、リズム&ブルース趣味が露になった「2時間35分」なども必聴だ。

おすすめトラック

2時間35分試聴
ぼくの好きな先生試聴

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遠藤賢司
『満足できるかな』
1971年 Release

エンケンは、フォーク・シーンにあって明らかに独自のスタンスを保っていた人物だ。はっぴいえんどの細野晴臣、松本隆、鈴木茂も参加したこのセカンドは、そんな彼の魅力が最大限に発揮された名作。“パンク・フォーク”とでも呼びたくなる勢いが強烈な「満足できるかな」、そして彼女がカレーを作る情景と三島由紀夫割腹自殺報道を同一線上で扱ったところに真実が見える「カレーライス」など、あまりに鋭すぎる視点にはただ感服するばかり。

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満足できるかな
カレーライス

河島英五
『メモリアル』

2002年 Release

直球しか投げられなくて、だけど「周囲がどうであろうとも、それでいいんだ」って感じでいつも堂々としていて、だから結果的には泥くささやかっこ悪さまでをスタイルとして容認させてしまう。河島英五には、そんな独特の存在感があった。「酒と泪と男と女」にしても「生きてりゃいいさ」にしても「野風増」にしても、その表現にはぶっちゃけクサイ部分がある。が、そこに必死で生きている感じが表れているから心を打つのだ。流行とは無縁な、真実の歌。

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酒と泪と男と女試聴
生きてりゃいいさ試聴

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オフコース
『僕の贈りもの』

1973年 Release

洗練された楽曲からジャケットのアート・ディレクションに至るまで、このアルバムで登場したときからオフコースには、一般的なフォーク・シンガーとはまったく異なるおしゃれ感があった。「僕の贈りもの」から「静かな昼下がり」、「さわやかな朝をむかえるために」までの楽曲は驚くほどクオリティが高く、この時点ですでに小田和正と鈴木康博のふたりが自身の世界観を確立していたことがよくわかる。このあと大きな成長を遂げる彼らの、まさに原点。

おすすめトラック

僕の贈りもの試聴
さわやかな朝をむかえるために試聴

CHAGE & ASKA
『風舞』

2002年 Release

のちに音楽性を大きく変化させたが、CHAGE & ASKAの本質はフォークにあると僕は信じて疑わない。和のテイストを取り入れた曲調には明らかなオリジナリティがあったし、だからこそ他のグループとの差別化が実現できたのだと思う。大ヒットしたシングル曲の「ひとり咲き」も、壮大な広がりを感じさせる「私の会いした人」も、ゆったりとした流れが心地よい「終章(エピローグ)〜追想の主題」も、すべてが彼らにしかできな表現だといえる。

おすすめトラック

ひとり咲き試聴
終章(エピローグ)〜追想の主題試聴

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More&More

アーティストの生きざまがリスナーに与えた影響の大きさも無視することはできないけれど、フォーク・ソングにとっての最大の武器はやっぱり「曲と歌詞」だ。歴史に名を残したアーティストの名曲であったとしても、短期間で消えて行った人の残した単発ヒットだったとしても、それは同じこと。というわけで「このあたりも、ぜひまた聴いていただきたい」と思える楽曲を、ここではご紹介してみよう。北山修と加藤和彦はフォーク・クルセダーズでの大活躍が有名だが、ソロ作品にも同じように触れていただきたいという意味で。ヤマハ「ポプコン」から登場したN.S.P.(ニュー・サディスティック・ピンク)の「夕暮れ時は淋しそう」は、35万枚ものセールスを記録した4枚目のシングル。若くして逝去した天野滋によるセンチメンタルな歌詞が心を打つ。りりィの「私は泣いています」やイルカの「なごり雪」、海援隊「母に捧げるバラード」は、フォークの枠を超えたポピュラリティを獲得しましたね。それからケメこと佐藤公彦の「バイオリンのおけいこ」やなぎら健壱の「葛飾にバッタを見た」みたいなコミカル・ソングにも、フォーク・ソングならではの楽しさが。そう考えると、ひとことでフォークとはいってもなかなかに広い世界だ。

北山修
「題名のない愛の唄」

1976年 Release

[試聴]

加藤和彦
「ぼくのそばにおいでよ」

1969年 Release

[試聴]

N.S.P.
「夕暮れ時は淋しそう」

1974年 Release

[試聴]

りりィ
「私は泣いています」

1974年 Release

[試聴]