1980年に「バスルームから愛を込めて」で衝撃的なデビューを飾り、精力的なライヴ活動の結果、82年の「赤道小町ドキッ」が大ヒットを記録、その熱狂的なパフォーマンスにより“総立ちの女王”なる異名を取った女性シンガー、山下久美子。
2005年はロックの生誕50周年と彼女のデビュー25周年が重なり、「とにかく刺激的な…自分自身がドキドキするようなアルバムを作りたかった」そう。
文字通り“刺激的”な豪華メンバー、例えば忌野清志郎、甲本ヒロト、宮沢和史、吉川晃司、麗蘭などなど、贅沢なアーティスト迎えたアルバム『Duets』は、聴けば聴くほど強く楽しく、前向きに生きてきた彼女ならではの“温かさ”に満ちている。
まず1曲目は忌野清志郎が今回のアルバムのために書き下ろしたという「愛の行方」。『もう憧れの人とのデュエットですから、嬉しすぎてもの凄く緊張しましたね。うわ!清志郎さんだ!という感じで(笑)。以前にライブなどで共演はしたことがあるんですが、こういう濃い形で共演できて、本当にこれ以上の幸せはないっていう感じでしたね。』と、自分の夢が叶ったこと、曲に授けられた“愛”の尊さに心が動かされたようだ。
そして2曲目の「ドレミの歌(Do Re Mi)」はTHE BLUE HEARTSやTHE HIGH−LOWSの主力メンバー、甲本ヒロトとの意外なデュエット。なぜこの曲にしたかというと、『彼が醸し出す空気とかオーラがこの曲を導いてくれてたんだと思いますね。最初はどうかな?出来るかな?と思っていたんですが、やってみようよ!絶対面白いよ!と周りが大賛成してくれて。凄くキュートな楽曲になりましたね。』 実はこの曲、彼女の愛娘たちもコーラスで参加しているそう。明るく「ドレミ〜」と歌う下りなど甲本ヒロトの無邪気な歌声とうまく絡み、何とも微笑ましい仕上がりになっている。
赤道小町で全国を旅している頃から、大友!大澤!久美子!と呼び捨てにしちゃうほど仲良しという大澤誉志幸&大友康平は5曲目の「きみの友だち(You’ve Got A Friend)」で参加。『2人は気心が知れている仲間ですね。声をかけたらすぐ飛んできてくれるような人たちで、ずっと昔からそれは変わらない。そこがまた嬉しいんですよね。そういうメンバーでこういうレコーディングが出来たのは良かった。なんか3人の空気感というか、メモリアルな感じが記録できたのは良かったです。』
興味深いのは6曲目の植木等さんを迎えた「月光価千金(Get Out And Get Undre The Moon)」。 『植木等さんには本当に尊敬しているし、25周年記念のアルバムで彼の声が入るのが本当に凄くハッピーでしたね。あと父親が尊敬している人でもあって、(デュエットを)実現できたことは最高の親孝行になりましたね。曲中で植木等さんの「クミちゃん」から始まるセリフがあるんですけど、本当に素敵なんですよ。日本国中の“クミちゃん”も大喜びだと思う(笑)。「観てごらん、あの満天の星〜」と語る彼の声は一言でいうとまさに“人情”という感じで、本当に素敵な仕上がりになりました。』
ボーナス・トラックとして収録されているのは「A Silver Girl ずっと昔から feat.佐野元春 〜Re−Mix2005〜」。この楽曲は80年代に佐野元春に書下ろしてもらった楽曲とのこと。実は彼との最初のレコーディング時にこんなエピソードが。『最初レコーディングのときに佐野さんが「久美子、大丈夫?ぼくがまず歌ってお手本見せるから聞いててね!」と言われて。でも私は私で歌いたいんだけど…とか思いながらも(笑)、彼はスタジオに入っていったんですけど、全然その歌が止まらないんですよね。「誰が止めるの?」みたいな(笑)。凄く無邪気でまっすぐな人だから、彼のそういうところも大好きで。今回のボーナストラックはデュエットをしているような気分で歌いました。』
ご自身も現在40代という山下久美子さん。このサイトのメインユーザーでもある30代、40代なりの音楽の楽しみ方を最後に伺ってみた。
『20代のころのように聴くのとはやっぱり違いますよね。CDを買ってきてジャケ買いして「失敗した!」とか「結構いいじゃん!」とか、そういう勢いみたいなのは30代以降薄れていくことってあると思うんですよ。でもそれじゃあダメで。やっぱり音楽っていうのはどっかで支えてくれたり助けてくれたり、人生に必要なものだったりするので大切にしていきたいですよね。』 ふたりの愛娘が出来てから、今まで聴かなかったような音楽も聴くようになったとか。『強制的に子供に曲を聴かそうとは思わないですけど、自然とみんなキッチンに集まってきて、私の曲を聴いたりとかABBAを聴いて踊ったりとかしちゃうんですよね。「やっぱりアバよね」とか言ったりしながら(笑)。子供はやっぱり楽しくて明るいものが好きみたい。でも、バラードを聴いてたりすると子供が「優しい曲だね」とか「悲しい曲だね」って言ったりもするし、子供って感受性が豊かなので面白いなぁと感心したりしてます。』
インタビュー後、昔よく聴いていた“MY BEST”を収録したカセットがどこかに行ってしまって、改めてダウンロード購入してみよう、というユーザーさんも多いのだと話したらこんな答えが返って来た。『そうですよね、今聴いてみたら昔聴いたときとは印象が違くって改めて楽しめるし…。今日たまたま聴いたことがあるような曲がラジオで流れていて、最初ど忘れしちゃって「新人だったら絶対に買いに行く!」と思ったんですけど実はカーティス・メイフィールドで(笑)。20代は新しいものを追いかけていたい!ていう気持ちが強いけれども、30代、40代の方は自分の中で好きなものを取り出していけばいいと思いますね。うん、私もインターネットで試聴しながら懐かしい曲をダウンロードしてみよう(笑)』
(text/s.n.j) |