

今回、小野リサさんに選んでいただいた“私の好きなジョビン10曲”。ジョビン自身の演奏や歌による曲から、他のアーティストに提供した曲やカバー曲など、ジョビンの幅広い魅力が伝わる選曲となっています。ここで、ブラジルが生んだ天才音楽家、アントニオ・カルロス・ジョビンについて、おさらいしておきましょう。
アントニオ・カルロス・ジョビンは、1927年1月25日、リオ・デ・ジャネイロ生まれ。14歳のころからピアノを始め、一旦は建築事務所に勤めるが、ナイトクラブでピアノ奏者として働き、1953年にブラジルのオデオン・レコードにA&Rマンとして採用される。大物作詞家であるヴィニシウス・ヂ・モライスと出会い、「黒いオルフェ」のための作曲などをしながら、1959年には、最初のボサノヴァ・ソングとされる「思い焦がれて」をジョアン・ジルベルトに提供し(厳密には、エルゼッチ・カルドーゾのアルバムに収録されていたこの曲で、ジョアンがギター伴奏を勤め、その後にジョアン名義でシングル発表)、ブラジルの若者の間にボサノヴァ・ブームが起きる。ジョビンが思い描いていた音楽を、ギターとボーカルによって完璧に表現したのがジョアン・ジルベルトだった。
ジョビンはその後、「フェリシダーヂ」「ワン・ノート・サンバ」「メディテーション」「デサフィナード」「ヂンヂ」などの名曲を次々と世に送り出した。1962年11月には、ニューヨークのカーネギー・ホールでボサノヴァのコンサートが開かれ、ボサノヴァ人気は世界的なものとなっていく。このボサノヴァの海外進出は、1963年録音のスタン・ゲッツによるリーダー作『ゲッツ/ジルベルト』を生む。アストラッド・ジルベルトもボーカルで参加した、ジョビン作曲の「イパネマの娘」はボサノヴァの永遠の名曲となる。自作自演作品集『The Composer Of Desafinado, Plays』を63年にリリースし、そして、クリード・テイラーが立ち上げたCTIレコードに移籍し、イージー・リスニング・ジャズの傑作『Wave』(67年)、『Tide』(70年)を発表した。その後は、エリス・レジーナとのデュエット・アルバムや、エコロジー問題をテーマにした『Terra Brasilis』などの印象的なアルバムをリリース。80年代以降は主に、家族を中心とした“バンダ・ノヴァ”で活動、94年に発表した『Antonio Brasileiro』が遺作となった(1994年12月8日に心臓発作で逝去)。

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