「自分自身でいることの大切さ」をテーマにしたという『レット・ゴー』。自分自身に「大丈夫、できるわ」と言い聞かせて欲しい、と語るケリ自身のパワーが伝わってくるアルバムだ。ファースト・シングルとなっている「ウォッチ・ミー・ウォーク」は、他人の声に従うのではなく、自分の意思で歩き出す姿を見せつけてやりなさい、という力強いメッセージがこもった歌。ただパワーで押し切るのではなく繊細なメロディに乗せて歌うことが出来るのがケリの才能である。恋する女性の心の痛みを歌った「セイ・グッバイ」や「Ooh Oh」「ベイビー、カム・ホーム」では、赤裸々ともいえる感情表現に引き込まれる。自分の宗教的ルーツを歌った「ボーン・アゲイン」やサザン・ソウル風の「ゴーン・プラウド」では、バックのしなやかで力強いサウンドと相まって、ケリのソウルフルなボーカルが圧巻だ。全盛期のボニー・レイットを思い出してしまった。静寂の中で時の流れを見つめるような「シンプル・シングス」も深い余韻を残す。タイトル曲「レット・ゴー」は、解放されることで、より自分らしい自分を見つけることができるというアルバム全体を貫くテーマが、歌詞にもサウンドにも集約されている。個人的な感想だが、ジャクソン・ブラウンの曲に感じるような高揚感をもたらしてくれる。 |