“人生はまるでデニムのようだ”と、彼女は言った。真新しいインディゴ・ブルーは青春。そのインディゴは歴史とともに素敵に色褪せ、自分だけの特別な青に。アルバム『Denim』の12の楽曲の中から、聴くひとそれぞれのデニム、さまざまな風合いを持った青を探してもらいたいと、竹内まりやは願っている。
『Denim』は、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の中の明るいナンバー「君住む街角(On
The Street Where You Live)」からスタートする。テンポのいいアレンジは服部克久。TBS系『ブロードキャスター』のテーマソングでおなじみの曲だ。
フジテレビ系ドラマ『役者魂!』とのタイアップからは挿入歌の「スロー・ラヴ」と、主演の松たか子が歌った主題歌「みんなひとり」のセルフカバー。今回のセルフカバーでは、松たか子が参加したというコーラス部分もお聴きのがしなく。
これまでも、恋を回る女性の切ない心理を綴ってきた竹内まりや。「返信」は、映画『出口のない海』の主題歌で、若くして命を落とした恋人が残した手紙への、読んでもらえることのない返信を歌っている。この他、禁じられた恋の終焉をテーマにした「哀しい恋人」。ふられてしまう女性をちょっと悲しく描いた「ラスト・デイト」。ワケありの大人の恋愛を描いた「明日のない恋」。失恋は二度としたくないと思いながらも、はまってしまうのが恋。そんな恋に揺れる気持ちが巧みに表現された楽曲の数々に、思わず感情移入、というのは避けられそうにない。そしてここで見つけた自分の「青」は、きっとこれからの恋に深い味わいを与えてくれるはずだ。
ラストナンバー「人生の扉」は、50代を迎えて違って見え始めた人生が、自然に歌になってできた曲なのだそう。
“新しい扉を開けていく勇気が持てる自分でいられるように、と願って作った曲かもしれません”と、本人は語っている。アルバム制作の早い段階でできた曲で、この歌の歌詞から『Denim』というアルバムタイトルも決めていたという。
6年ぶりの待望のニューアルバム『Denim』。人生の中に現れては消える感情を包括したような、それでいて優しく温かい今作。綴られた何気ない言葉のひとつひとつを、じっくりとかみしめて聴いてほしい。
(text/mush)